自転車のコト

私は、かつてロードバイクにはまり、恐れ多くも日本一のアマチュアライダーを目指し、月に実走で2,000kmほど走っていた時期があります。もっと快適に自転車を楽しみたい!というのも、移住の動機の一つです。ただ、現実はというと、サラリーマン時代は23時に帰宅しても、そこから外へ走りに行っていたほどですが、思いのほか農作業は地味にキツクて、夕方過ぎに帰れたとしてもそこからローラーにすら乗る元気がない状況ですが、、、

そんな不甲斐ない状況ではありますが、これからの自らの自転車ライフの充実はもとより、自転車フレンドリーな観光農園や民宿の経営、そして県内外の自転車プロジェクトとの連携により、山梨県が自転車天国となるように、そして皆様の自転車ライフが一層素敵なものになるように微力ながら貢献していきたいと考えています!

やまなしと自転車

私は、埼玉県の東松山市で沢山自転車に乗っていました。
東松山市と言えばエキップアサダのお膝元でシクロパビリオンのある町。そして自宅は、関東のチャリダーには有名な物見山の直ぐ麓の高坂。

物見山の上にあるかつての職場(JAXA地球観測センター)へ出勤する前に、物見山10本や物見山周回5本、週末は白石峠4本や上野村への往復200kmなど、ある意味自転車天国ではありました。
その頃や東京で走っていた時の様子はこちらを参照。鳩山近辺や奥武蔵、都民の森や雛鶴あたりを良く走る人には参考になるかもしれません!

埼玉中部と西東京でさんざっぱら走ってきた上での山梨ではありますが、やはり山岳を中心に素晴らしいコースが多数作れます!

山梨東部の大月や上野原の雛鶴峠、鶴峠、そして柳沢峠、さらには道志みちから山中湖へのルートなどは東京西部の人達にはすでに十分なじみがありのある山岳コースでしょう。

その柳沢峠のある大菩薩山系から甲府の昇仙峡付近、さらには八ヶ岳方面まで延々とクリスタルラインなどの道がつながっており、また、長野川上村方面に抜けるルートも複数あり、優に20kmを超えて登り続けることが出来る上、勾配もそれ程きつくないので中級者でも十分楽しめるルートが作れます。

北杜、八ヶ岳方面は季節ごとの景観が素晴らしく、山岳も平坦も織り交ぜたグルメライドが楽しめます。

自宅裏の南アルプス山系はどちらかというと上級者向け。勾配的にも距離的にも6.3kmで8.6%くらいの白石峠がかわいい感じになってしまいます。しかし、麓の北杜市から南アルプス市、そして富士川町までを南北に抜けるウェスタンラインは緩めのアップダウンが連なり、富士山を見ながら快適に走れるナイスコースです。

峡南と言われる富士川町から身延、南部にかけては、凍結の心配が少なく、アップダウンを繰り返しながら富士川を下って駿河湾まで往復できる貴重な冬の練習コースになります。

富士五湖地域は、富士山を中心にJプロツアーや市民レースなどの多くの舞台となり、2020年にはオリンピックの自転車ロードレース競技のコースにもなり、言うまでもなく日本有数の自転車のメッカと言えましょう。

これらの地域ごとに、そして県全体を対象に自転車天国化したり、自転車の聖地化を目指したりするグループが存在するのも素晴らしい事で、今後、微力ながら協力していきたいと考えています!

身近で残念なことは、特に南アルプス山系の道が荒れている事、そして奈良田、早川町へ抜ける林道が閉鎖されていることでしょう。

一度、業者の人に招かれて丸山林道を奈良田まで抜ける機会がありましたが、それこそ雄大な南アルプスの大自然の迫力に圧倒されるような景観がありました。一日も早い開通を期待します。

やまなしの自転車プロジェクト

ここに挙げるようなプロジェクトがうまく進めば、山梨は本当に自転車天国で聖地になるかもしれません。微力ながら協力していきたいと思います!

やまなしサイクルプロジェクト(YSP)

山梨を自転車天国化しようとするプロジェクトで、山梨各地に散らばる""チャリたぬ""の生みの親であり、日本屈指のロングライドイベントである『南アルプスロングライド』の主催者でもあります。
YCPを紹介するシクロワイヤードの記事はこちらこちら

やまなし百坂

YSPが仕掛ける坂バカによる坂バカのための山梨県内の坂情報SNSサイト。距離順や勾配順や地域別にお好みの坂を検索できる優れもの。

南アルプスマウンテンバイク愛好会

『マウンテンバイクによる南アルプス山麓エリアの地域活性化を実現し、社会においてマウンテンバイクが必要であると認められる存在になる。』を理念として、会員たちが自らの走る櫛形山のトレイル整備を通じた森林保全とその麓の地域の発展に寄与する活動を続けている素晴らしい愛好会です。私も農園の整備がひと段落したら活動に参加したいと考えています!

山中湖を自転車の聖地へ

現在、山中湖村の観光課職員兼国際交流員として活躍するフランス出身で元プロロードレーサー(東京ヴェントス)のトムさんを中心として、2018年8月に発足したFacebook上の公開グループ。東京五輪自転車ロードレースのコースとなる事もあり、地元は自転車イベント目白押し。東京からの地の利もあるので、今後どのように発展していくか非常に楽しみです。山中湖から南アルプス市へも、富士五湖すべてを巡って到着できるので、点と点を線で結んでいけるよう協力していきたいです!

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やまなし自転車活用推進計画

『平成29年5月1日に施行された自転車活用推進法(平成28年法律第113号)を踏まえ、県内全域における自転車の活用を総合的・計画的に推進していくことを目的として、課題等を整理し、具体的な目標や施策、及び取組等に関し、山梨県版の自転車活用推進計画を策定する』というもので、平成30年10月11日に第一回検討委員会が開催された。

委員には、甲府在住の自転車界のレジェンド今中大介氏やサイクルライフナビゲーターの絹代さんなどが名を連ねる。
県の最上位計画である『ダイナミックやまなし総合計画』に自転車の活用がどこにもうたわれていないため、本計画がどのように機能するのか定かでないですが、、、私もかつては国の宇宙政策に関わる事務局支援の仕事などをしていたので、こういった場では積極的に意見したいことがあるのですが、当然お呼びはかかりません( ;∀;)

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自転車の可能性

エコで観光や健康の促進などにも貢献するとされる自転車ですが、急速に進む高齢化社会における課題解決の一つとして、高齢者の自転車利用の社会実験をおこなっていますのでご紹介します。

高齢者のモビリティ、健康促進、そして生活の質の向上を目的とした自転車の活用

私とほぼ同時期の2015年4月に大阪から南アルプス市へ移住してきた母、娘のばぁばは2018年で77歳。車が無いと田舎では暮らせないと言われていますが、全くその通りで、ばぁばの移動は82歳になるじぃじの車だより。買い物も、畑仕事も役場に行くのも何をするにもじぃじに頼まないと身動きが取れません。

安定、安心の電動アシスト付き三輪自転車

そこで、2017年7月、ついに意を決して私のススメもあり自転車を購入しました。電動アシスト付き三輪自転車です。

ばぁばは、これまで自転車の運転などしてこなかったため、駐車場を借りて運転練習から始めました。
練習と言っても、走り出す、止まる、曲がるときは顎を上げずに目線を曲がる先へ向ける事、くらいでしょうか。

全くの初心者でも、三輪自転車な上に電動アシストなので安定しているため、ものの30分ほどで不安もとれてそれなりに走れるようになったため、そのまま、3km離れた自宅まで一緒に走って帰りました。

広がる活動と交流

自分の脚を得たばぁばの活動範囲は一気に広がりました。更なる健康のため、自宅から片道約6km、標高差で100m離れた場所にあるカーブスというスポーツジムに週三回ほど通い始めました。

大きな荷台のある三輪自転車なら帰りにたっぷり買い物もできます。そして、スポーツジムは高齢者の社交の場となっており、これまで2年間友達の出来なかったばぁばにもついに友達が出来、畑仕事に招待したり、ランチをしたりと楽しみが増えました。何より、じぃじに頼らず好きな時に好きな場所へ行けるのは大きな楽しみです!

夏も冬も走り続ける事一年以上が経ち、道端のおばあちゃんに達にも『その自転車いいねぇ』と声をかけられることも自転車に乗る励みになっています。一年たっても、体重や体脂肪など、数値的には驚くほど変化がないのが実際のところですが、数字以上の成果は表れているように思います。

高齢化社会における自転車の可能性

昨今、高齢者の自動車事故の急増に伴い、高齢者の免許の返納の必要性が議論されています。

しかし、特に公共交通機関の乏しい田舎を中心に、免許を取り上げられることは、移動手段を奪われることと同じで生活が成り立たなくなることから、多少なりとも運転に不安を感じている高齢者でも免許の返納は現実的でないとされています。そして、自転車に乗り換えるにしても、高齢になってから乗り始めるのは困難かもしれません。

しかし、漕ぎ出しや低速時にバランスを取るためには俊敏な反応を要する二輪自転車と異なり、三輪自転車は常に安定しています。しかも、電動アシストがついていれば坂など全く気にすることなく走り登っていくことが出来ます。

すべてはばぁばがその可能性を示してくれています。危険を感じながら運転を続けるか、移動手段を奪われ生活に窮するか、そんな二択しかないわけではないと信じます。

自転車社会構築に向けての課題

ただ、電動アシスト付き三輪自転車があればすべての問題が解決するわけではありません。まず、一台20万円ほどするため、誰もが簡単に購入するわけにはいかないでしょう。しかし、免許自主返納者には、三輪車の安全運転講習会に加えて半額を行政が負担するなどの施策は有効ではないでしょうか。ばぁばのように、自転車での移動で運動し、ジムに通って運動し、仲間とコミュニケーションをとるなどにより心身を健全に保つことで、医療費負担の軽減が期待されます。
その他の課題は、現在の道路が自転車の利用を想定していないこと。トラックの走る道路に申し訳程度に作られた狭くごみの多い荒れた側道、段差の多い歩道、荒れた路面。特に後輪の幅が広い三輪車にとっては、後輪が段差に乗り上げやすく、場合によっては転倒の危険も伴います。

自転車天国や自転車の聖地を目指すここ山梨県。東京五輪のロードレースコースとなる事で盛り上がるのはもちろん素晴らしい事ですが、健康長寿日本一も山梨県の誇りです。その健康寿命を自転車の利用でさらに延伸することが出来るよう、更には高齢者のモビリティ問題解消のための自転車活用の促進のため、ハードとソフト両面から中長期的な視点を持ってプログラムを構築していただきたいと祈るばかりです。その間にも、もちろん、うちのばぁばは走り続ける事でしょう!!(2018年12月)

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