農園長ブログ

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【ぼかし肥料づくり】くだものをより美味しい、そして、環境にもお財布にも優しいさとう農園のぼかし作り

有機栽培に不可欠で、米ぬかベースにカニ殻追加し、栄養補給と減農薬につながる病害虫対策にもなる可能性を秘めるぼかし作りについて簡単にまとめました。

 

 

畑の白柴『ゆきまさ』との初の共同作業でもありますので、柴犬好きな方にもお楽しみいただけるのではないかと思います。

財布に優しいとは、某微生物資材会社のレシピ通り作り、1000kg分のぼかしを作るために必要な材料全て購入すると、以下の通り16万円近くかかります。

 

米ぬか1t      400円/15kg/袋 × 67袋 = 26,800円

粉種菌(材料の3%) 約4000円/kg ×30kg = 120,000円

液体種菌(水200Lの1/50)2750円/L × 4L = 11,000円

※水分量は米ぬかの20%、液体種菌は水分量の2%とする。

合計金額 157,800円

 

 

しかし、当園では種菌を毎年遣い回しすることで、ことしは凡そ1000kgのぼかしを作るのに、米ぬか代として凡そ2000円、そして上記以外に追加で入れたカニ殻代で10,000円/90kg。合計で1万円強で作ることが出来ました。ただし、一度に無料で、又はとても安価に入手できる米ぬかの量と、雨に濡れないぼかしの作成場所の制約のため、100kg強を何回転もさせるので時間はかかっています。

 

そして、このぼかしを使っているせいだけではないと思いますが、昨年までの二年間、化学合成殺菌剤は不使用です。そんな感じのぼかし作りのお話です。

 

 

さとう農園での収穫の後の重要作業!

くだものを作るために疲れた樹体の回復と、畑の環境を健全に整えてやる重要な作業が『ぼかし肥料』づくりです。ここでは、米ぬかメインでC/N比がそれ程高くないけど、お礼肥えとして窒素分を素早くくれてやる化学性はもとより、生物性、物理性の改善なんかも期待して病害虫対策もしたいなぁ、という感じで利用しております。

 

ぼかし自作と利用のきっかけは、桃で農水大臣賞を受賞された農家さんが実践しているのを見てまねして始めました。その時は、ライフメールという資材屋さん通りのレシピでしたが、ここ数年間の間に自分なりの変化を加えています。

 

このぼかしに関する情報源は多様ですが、一番わかりやすくかつ詳細にまとめられているのは農文協の『有機栽培の基礎と実際』な気がしますので、ここで関心を持たれた方はこの本で細かく確認してくださいませ。

 

さて、『ぼかし肥料』とは、油かすや米ぬかなど複数の有機質資材を配合させたものに籾殻や土を加えて発酵させた肥料のことを指す、と定義されていたりしますが、正直ピント来ません。

 

私としては以下のような観点から自作して利用しています。

・化学性:化学合成肥料は使用していない当園では、微生物に有機質を分解してもらってできた生長促進アミノ酸を大いに活用したい

・生物性:ぼかしの過程で生まれた多様で有用な細菌群、特にくだものに悪さをする放線菌さんを畑に増やしたい

・物理性:量は多くないし、ぼけているので腐食要素は多くないが、毎年継続することで豊かな土壌にしたい。

・そして、狙った栄養要素や土壌改善要素を厳選した材料から自作で、そして安価につくれる!!

 

こんな感じです。

 

そして、ぼかし肥料づくりの要素や発酵するまでの期間は概ね以下の要素で変動しくるようなきがします。ここでは、好気発酵を前提に記載しています。

 

  • 有機質材料
  • 発酵菌の質や量
  • 水分量
  • 気温

※なんにしても、まんべんなく均一に混ぜることが重要!

 

  • については、自分の畑に必要なC/N比や栄養素を選別し組み合わせればよいのでしょう。米ぬかや油粕など細かいものほど早く、もみ殻やおがくずなど硬いものや木質で大きいものは時間がかかる
  • ①に混ぜ込む菌が多ければ多いほど時間は短いけど、買えば当然高くなる、、、
  • 少なすぎると時間がかかるが、多すぎると腐敗する
  • 高いほど早いが、温度によって活性化する微生物が変わるので注意が必要

 

当農園では、基本的に、桃で農林水産大臣賞を受賞したといわれる農家さんのレシピ(ほぼ、ライフメールのレシピ通り)をベースに独自で改良を加えています。

 

  • には米ぬかを使っています。発酵が早い事、安価で入手が容易なことが理由です。農研機構のバイオマス成分DBによると、米ぬかの窒素含有は約7%、C/N比だと18でくらい。細菌が好きなC/N比は40から50らしいが、その数値だと有機物分解時にNを消費してしまうため、お礼肥えとしてくれて多少なりともN供給も狙うなら18程度かも少し低いくらいでも大丈夫なのかなと。購入すると、30kg米袋いっぱいで400円程しますが、無料で持ち帰ってよい無人精米所から集めてきます。1シーズン100袋として4万円の節約ですね。そして、カニ殻を混ぜています。これは3500円/30kgほどしますが、抗生物質を供給してくれる放線菌が好物とするキチン質の補給狙いです。くだものに悪さをするカビ類もキチンを含むので放線菌が多いと悪いカビの密度が下がるため、化学合成殺菌剤を使用しないで済む環境づくりに不可欠な菌なのです。
  • にはライフメールの玄米アミノ酸を使用していますが、数年前に購入した粉体で作ったぼかしを『種菌』として保存して利用しているので、もう数年買っていません。種菌は多ければ多いほど発酵は早いですが、購入するならその分高くなるので、節約したいなら①の有機質材料を少なめにして、時間を掛けて菌を増やし、徐々に①を増やしていくことですね。
  • ライフメールの推奨レシピは①の重さの20%とされていますが、それだとやや少ない気がします。少ない分やや発酵が遅いかなぁという感じでしょうか。堆肥の場合は60%くらいまでオーケーとあったりしますが、米ぬかでそこまで入れると通気性が落ちて腐敗しやすくなる思います。なので、私は材料重量の30%くらいが良いような気がしています。今回の材料の米糠の場合、重量の15%が水なので、追加する水と合わせると45%。45でもまだ上限ではない気がしますが、追加の水はシャワー的に満遍なく丁寧に散布してやる必要があり、ムラがあると場合によっては腐敗するか、出来が悪くなるので注意が必要です。うまくすれば材料のどこをとっても握って程よく固まり、押せばらけるくらいになります。こういう意味では、追加水20%というのは、相当雑に水をくれても失敗は少ないかもしれません。
  • 夏場であれば3日4日で色が茶色く変わり、香ばしい素敵な良い匂いが漂ってきます。内部の温度は55度ほどになります。放線菌が活発に活動し、セルロースを分解している状態のようです。この状態で放置すると、放線菌のエサが無くなり、温度が下がり、最後に一番分解しにくいリグニンが分解され、完熟たい肥になっていくようです。私のぼかしの場合はここで水分補給と切り返しを行い、表面の生な部分も発酵させ、55度以上に温度はあげずに満遍なくぼかして仕上げます。

 

これまで、一つの例外を除いて失敗したことはありません。その例外は以下の二点がほぼ同時に発生した時だけ。

  • 窒素分をやや多めに含み、分解しにくいカニ殻の割合が多く、しかもそれを生の米ぬかと同時に投入してしまった。
  • 仕込み中のぼかしを雨に当て水分過多になった。

この時は、本来発生する香ばしいかおりどころか、ザリガニが死んで腐敗したようなにおいがしたので驚きました。

 

一般的な失敗要素は以下の通りです。

 

【失敗パターン】

悪臭を放ち腐敗する。考えられる原因は、

・水分量が多く嫌気発酵に陥り、雑菌が繁殖する

・C/N比の低い材料(窒素分の多い材料、例えば魚粕など)の割合が多すぎ、微生物のエネルギーが不足し

・カニ殻や牡蠣殻などミネラルの多い材料が多すぎる、又は発酵前の米ぬかと同時に投入しているため、微生物のエネルギー不足で分解が進まず腐敗してしまう。

などなど

 

なんにしても、ぼかしを作ってくれてやるだけで、くだものが美味しくなったり病害虫が減少するほど農業や自然は甘くないですが、やるだけの効果はそれなりにあるように感じています。

 

今後も、コツコツと改良して良いぼかしとくだものを自然に優しい方法で作っていきたいと思いますので、なにか助言がありましたらコメント欄を通じてどうぞお知らせくださいませ!

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