農園長ブログ

【2021年版】一年経過した梨の立ち木仕立ての誘引の評価、防除暦、再度誘引

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6年生の梨の誘引です。私が勝手に命名した梨の立ち木仕立て『梨のほうき仕立て』のその後の評価です。

2020年5月17日に昨年、立ち木で栽培している梨の誘引をしてみました。そこでは、梨のほうき仕立ての基本的な考え方、方法、そして誘引のためのロープワークについて紹介しました。こちらの動画です。

南アルプス市の曲輪田地区の砂質土壌の凡そ2.5aに4から6年目の幸水、南水、あきづき、新高、大天梨、豊水、新星が合計13本植えられています。梨は個人的に大好きなくだものなのでぜひとも栽培したいと始めましたが、棚は葡萄に割り当てるため梨は立ち木で栽培することに。しかし、梨の立ち木の仕立て方のお手本がどこにも見当たらないため、独自で『ほうき仕立て』として誘引したのが昨年2020年5月。そこから凡そ一年が経過し、その評価を行ってみました。

【状況】
誘引により枝を傾斜させましたが、結実させても折れることはありませんでした。明確な傾斜角度を定義するのは困難ですが、手で倒して結実しても自立できるであろうぎりぎりの角度を狙い、かつ他の枝と重なって日陰にならない位置を探しながらというアナログな方法ですが、今のところ上手くいっている感じです。

【良かった点:病害虫減少による減農薬】
農薬の散布回数自体、昨年から変化はありませんが、毎年発生する赤星病、炭疽病が軽減されたように思います。一方でアブラムシは押させることが出来ませんでした。これまでも、農薬は年々使用を絞り込んできましたが、その過程は以下の通りです。数値的に劇的に減少しているわけではないですが、発病状態が緩和されている感じがします。
ちなみに、慣行レベルの化学合成農薬成分回数は、山梨県で32、千葉県では驚きの52となっています。慣行レベルの設定基準が不明ですが、生育期間中は毎週2成分ずつくらい散布する計算でしょうか。。。恐ろしい、、、
今年2021年は、アブラムシの発生が無ければ、5月のオーソサイド抜いて、収穫後にボルドー散布して来年に備えたら有機栽培いけそうだなぁ。。。アブラムシがどうかなぁ。
さらにちなみに、自家製えひめAIは25倍くらいで生育期間中に4回くらい散布しています。普通より断然濃いですが、これは納豆菌による制菌作用を期待しています。
なんにしても、春、新梢にたかるアブラムシをどうにか抑えたいなぁ、、、有機JAS系の粘着くん水和剤をつかってみるか、、

【2020年】化学合成農薬2、有機JAS系2
5/18 オーソサイド
4/29 モスピラン
3/13 ボルドー412
2/19 石灰硫黄合剤
【2019年】化学合成農薬1、有機JAS系3
10/14 ボルドー412
9/20 ボルドー412
6/6 オーソサイド
2/12 石灰硫黄合剤
【2018年】化学合成農薬2、有機JAS系2
10/2 ボルドー412
4/12 オーシャイン+バリアード
2/14 石灰硫黄合剤
【2017年】化学合成農薬7、有機JAS系1
9/20 モスピラン
8/15 フルーツセイバー
7/12 モスピラン
6/12 オーシャイン+モスピラン
5/3 バリアード+インダー
3/12 石灰硫黄合剤

【悪かった点:使用した麻ひもの耐久性】
一年持ちませんでした。麻ひもの中でも一番細いタイプ(2か3mm)だったのですが、半数以上の紐が切れてしまいました。6mmだともう少し持つかもしれませんが、2シーズンが限度かも。安さと強度で麻ひもを選択しましたが、耐久性がここまで弱いとやり直しの手間賃がかさむため、やはり、マイカー線がコスパ最高ということになりそうです。

【2021年版改良点】
これまで、東西に平面に扇なほうき状に広げてきましたが、一部、南北方向にも広げました。枝の密を避けつつ、樹冠を広げ収量を増加させることが目的です。平面なら、後2列、本数にして10数本は増やすことができますが、その予定は当面ないので、それならば今ある本数で、管理作業を妨げない範囲で広げてやろうというところです。地面に杭を打ち、誘引すると草刈りや移動の際の妨げになるため、南北にある葡萄の棚や桃の樹に引っ掛けて引っ張ることで無理なく樹冠拡大に成功しました。もちろん、樹の高い位置への脚立の場所も確保しています。

【その他補足】
ほぼ、主枝は8尺脚立管理範囲目いっぱいまで生育したため、遅ればせながら亜主枝の育成を本格化させます。亜主枝候補が欲しい場所の芽は、全て花を摘み、葉だけ残しました。大切に育てれば2年ほどで沢山の結果枝、花芽をつける取り枝ができることでしょう。

【収量予測】
予測というほどたいそうな物ではないですが、形が完成すれば80個/本、13本/2.5a、300g/個とすると収量は312kg。1248kg/10a。ちょっと少ないなぁ。植栽間隔が広すぎるので、ちゃんとやれば立ち木でも2000kg/10aはいくでしょうけど、まずは今年の結果を見てみます。まだ樹が小さいので、この仕立てで反当りの収量を出すためにはまだ数年かかりますが、、、
収量についてはおいおい報告します。

なんにしても、棚は葡萄に割り当てたいので、立ち木で品質だけでなく管理作業効率も損なわない栽培方法について、引き続き試行錯誤していきますので、お気づきの点がありましたらコメントいただければ幸いです。

【結び方】
・『巻き結び』『本結び』『自在結び』https://youtu.be/9c8uBrdVqoY
・『改良もやい結び』『自在結び』https://youtu.be/u5Pt_5r8HyE

【撮影日】2021年3月31日
【撮影】GoPro Hero 9

五感で感じる観光農園 南アルプス くだものびより さとう農園

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